(無署名記事)
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事業主・従業員・運営管理機関の良好な関係が制度改革の鍵
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去る10月28日に開かれた第11回確定拠出年金連絡会議でも明らかになったと
おり、制度発足3周年で企業型DCの規約数は1,068件、実施事業主数は3,134
社に達しました。加入者数は101万2千人(8月末速報値)となっています。
このうち、従業員数300人未満の中小企業の割合は77%(2,414社)となってお
り、4社中3社以上が中小企業という状況となっています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/10/s1028-6.html
大企業における退職給付制度の再編はほぼ峠を越えつつあり、運営管理機関
におけるターゲットも中小企業へシフトしつつあります。一方で全国に数百万
社ある中堅・中小企業にどのように制度改革を進めていくかは難しい課題です。
中堅・中小企業における退職給付制度改革を成功させていくために欠かせない
要素は何でしょうか?
特に、確定拠出年金の採用と円滑な導入にあたっては、おそらく3つの要素
が欠かせないと思います。それは、
(1)事業主の決断と熱意、
(2)従業員との積極的な対話、
(3)運営管理機関との良好な関係構築、
です。
まず、「事業主の決断と熱意」は、特に中小企業における制度改革の推進に
ついて大きな意味があります。というのも、大きな人事制度改革でもある退職
給付制度の見直しを、経営者がリーダーとなって推進していくことは、改革の
スピードを早め、実りあるものにするために不可欠な要素だからです。
次のステップとして「従業員との積極的な対話」を行う姿勢も重要です。D
C制度の採用は大きな制度変革になりますので、経営者から従業員に対してポ
ジティブなメッセージを送っていくことが成否の鍵を握っているともいえます。
導入後も従業員のニーズをくみとりフォローし続けていく姿勢が求められます。
また、「運営管理機関との良好な関係構築」も欠かせません。DCを導入す
るまでは、自社のニーズに合った制度にするためにも、積極的に運営管理機関
と対話をしていくことが欠かせません。また、導入後についても従業員が主役
であり、従業員の利益を最大限に確保していくために、良質なサービスを求め
ていく姿勢が重要です。労使間の良好な関係だけでなく、運営管理機関との良
好な関係も欠かせない要素といえます。
こうした3つの要素を上手につなぎ、良好なトライアングルを形成すること
が、DC導入を成功に導くのではないでしょうか。DCプランナー資格を取得
されている人は、企業内にも組合内にも、運営管理機関にも多数いらっしゃい
ます(第三者的な立場からコンサルティングを行うDCプランナーも同様です)。
彼らはこのトライアングルを円滑に機能させていくために、その役割が期待さ
れているといえるでしょう。