(無署名記事)
DCプランナー(企業年金総合プランナー)メールマガジン(第103号)にコラムを提供しています。
運管手数料の引き下げ等の努力で個人型DC市場の活性化を
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企業型DCと比べて普及が遅れているとされる個人型DCですが、普及のペー
スそのものは、決して落ちているわけではありません。むしろ、ペースそのもの
は、上がると考えられます。その理由として大きいのは、企業型DCの加入者は
今後も増加が見込まれ、その一部が転退職を機に個人型DCに加入するケースの
増加が考えられるからです。
一方で、個人型DCの普及には、いくつかのハードルが見受けられます。今後
の個人型DCの普及のために考えられる改善のポイントを考えてみましょう。
第1のハードルは、制度の理解や知名度の不足です。自動移換者が全員、個人
型DCの加入者になっていれば、個人型DCの市場は2倍にふくらんでいたはず
です。本来、加入者になれる方が知らずに自動移換になっている事例も見受けら
れます。また、個人事業主等を中心に、制度そのものを理解していない層が多い
ことも課題です。このハードルについては、加入対象者個人のみならず、DCプ
ランナー(企業年金総合プランナー)をはじめ、社労士やFP等のアドバイザー
の理解を深めることも重要な取り組みになります。
第2のハードルは、運営管理機関を探すのが困難であることです。ほとんどの
運営管理機関では、ホームページやコールセンターを活用しており、金融機関の
窓口での資料配布や加入受付を行っていない傾向にあります。ホームページに掲
載している情報も、他の商品案内ページの情報に比べると、個人型DCは分かり
にくい位置にあることが少なくありません。加入対象者は、「どこの金融機関で
取り扱っているのか」「どこに相談すればよいのか」といったことが分からない
ことから、加入や移換を断念してしまうことになります。このため、金融機関に
おいては、サービスの案内情報を是非とも前面に押し出してほしいものです。
第3のハードルは、手数料等のサービスです。特に、運営管理機関が徴収する
手数料は、掛金の内枠で差し引かれるために、50万円程度の資産で1%程度の利
回りしか得られない環境では、年6~7千円のコストがかかるために、元本が目
減りしてしまいます。当初は年6千円台後半であった手数料も、最近では証券会
社などで年6千円を切っています(資産残高によっては、年2千円以下に割り引
くところもあります)。また、損害保険会社を中心に、運用指図者については、
年間4千円台前半の設定をしているところもあります。もちろん、トータルの税
制メリットを勘案すれば、現状の手数料でも十分に魅力的ですが、やはり一層の
引き下げを期待したいところです。
個人型DCの市場には、まだ拡大の余地が大きく残されています。制度の普及
・発展は、運営管理機関の利益のみならず、国民の利益にもつながります。DC
制度の普及の第2ステージとして、個人型DCの発展にも着目していきたいもの
です。