(無署名記事)
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中小企業の企業年金改革、急げ!
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適格退職年金導入企業の46%がまだ移行をほとんど検討していない、という
驚くべき調査結果が、2月27日に新聞報道されました。これは、三菱UFJ信
託銀行が適年を導入している顧客に対して行ったアンケート調査の結果のこと
です。
同調査によると、「選択肢を検討中」が同じく46%、「選択肢は決定済み」
が7%、「詳細に検討中」が1%だそうです。調査は、同社の説明会に参加し
た企業を対象としたため、すでに制度移行を実行済みである企業がほとんど含
まれておらず、未検討企業の割合が通常より高くなるのはやむを得ないとして
も、この結果はかなりの高率といえます。
実際、景気の影響を大きく受ける中小企業では、今まで余裕がなく、企業年
金改革はまだこれからというところが多いのでしょう。しかし、企業業績によ
うやく一服感が出てきた今が、改革を考える好機となっているのも事実です。
特に、中小企業は適年を数多く実施していることもあり、適年移行問題のまさ
に本丸です。このため、中小企業等への啓発・商品提供がますます重要になる
ことは間違いないと思われます。
商工会議所のセミナーや運営管理機関各社のセミナーなどを通じて、地道な
啓発活動はすでに意欲的に行われていますが、これに加えて、運営管理機関各
社の取り組みも活発になっています。例えば、地方金融機関と主要な運営管理
機関が業務提携をしたり、中小企業向けのリーズナブルなDCプランを提供す
るなどの動きがみられます。
地元で有力な中小企業と密接な関係を持つ地方金融機関に対して、有力な運
営管理機関のノウハウが提供されるのは、実際にDCを採用する企業にとって
もメリットがあるといえます。また、運営管理機関の努力により、導入プロセ
スが簡素化されたり事務負担が軽減されれば、負担能力に限界のある中小企業
にとって大きな支えになるでしょう。
間もなく2006年4月を迎え、適年移行のタイムリミットは残り6年を切るこ
とになります。5年に一度行われる財政再計算の時期が企業年金改革を推進す
るベストタイミングと考えると、実行に踏み切る好機はもう一度しか残されて
いないことになります。中小企業とその従業員を支えていくため、今こそ、各
界が連携をして取り組んでいくことが求められているといえるでしょう。