(無署名記事)
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日本人の7割は投資知識不足?
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日本の成人の71%は株式や債券投資に関する知識がないといういささかショ
ッキングなレポートが、OECD(経済協力開発機構 http://www.oecdtokyo.org/
)のHPに7月12日に掲載されました(『金融に関する市民教育』)。
http://www.oecd.org/dataoecd/18/22/35115914.pdf (本文は英文)
さらに、日本の成人の57%は金融商品に関する一般的な知識がなく、29%は
保険や年金、税金に対しても知識が不足しているとしています。これを受けて、
レポートでは経済教育や投資教育を学校を含めて充実させることの重要性を訴
えています。
日本人の投資知識不足はかねてより指摘されているところですし、しばしば
DC導入にあたっての大きな障害となっています。従業員のほとんどがリスク
資産における資産運用が未経験であるため、多くの企業ではDC導入時に制度
教育や投資教育について初級レベルからじっくりと行うことが求められます。
導入時に労働組合等が不安として指摘する理由も、従業員の投資知識不足が原
因であることが多いようです。
一方、金融の自由化・グローバル化とともに、個人の資産運用についても自
己責任原則が強く求められるようになりました。しかし、(半ば強制的に)自
己責任で運用しなくてはならない環境にあるDCの加入者に対する投資教育は
事業主の義務であり、半面、加入者に制度や運用知識を正しく理解させなけれ
ば事業主側の非を問われることになりかねません。
今後、OECD報告の提言を受けて、わが国の学校教育等における投資教育がさ
らに整備されることを期待するとしても、当面の間はDCの導入時や継続教育
の機会に従業員の投資知識を段階的にレベルアップしていくほかありません。
実際に投資教育の実務を担当される方にとっては、日本人のほとんどは株式や
債券にはなじみがないという事実を、再度意識して教育現場に臨むことが必要
かもしれません。
(参考文献:2005/07/12, 日本経済新聞 夕刊)
「OECD報告、日本人の7割、投資知識ない、学校での教育提言」