(無署名記事)
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DCをきっかけに芽生える従業員の「自律」意識
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先日、テレビで「30代サラリーマンの老後設計」と題した特集が組まれてい
ました。会社が企業型DCを加入したことにより退職給付のおよそ50%を自己
責任で運用することを迫られる会社員、老後資金不安に備えるため個人年金保
険の積立を始める会社員などの姿が紹介されていました。週末の夜の放送でし
たので、目にした人も多いのではないでしょうか。
特に番組の前半では、実際にDCの導入意義を説明する担当者の姿やそれを
踏まえて資産運用に試行錯誤しているDC加入者の姿が紹介されました。自分
なりの資産配分を検討しリスク資産と向き合っている姿、自宅で家族と資産配
分等について相談する姿、同僚と資産配分や運用状況について情報交換する姿、
などが続けて映し出されていました。おそらく、多くのDC採用企業でも見ら
れている光景ではないでしょうか。
こうした会社員の現状を見ていて、昨年12月に開催した「商工会議所年金フ
ォーラム2004」におけるパネルディスカッションの内容が思い出されました。
DCの導入は企業と従業員の新たな関係構築の一要素でもあり、従業員の「自
律」を促す効果も大きい、といった議論です。
DC採用企業において、ほとんどの従業員は投資信託等のリスク資産の運用
について未経験です。会社側が実施する導入時説明会だけで、すべての投資知
識を身につけることは事実上不可能で、多くの従業員はその後自分なりの投資
スタイルを模索していくことになります。
しかし、そうしたプロセスの中で個々の従業員は自身のライフプランに自覚
的になるとともに、公的年金制度やリスク商品等への理解や関心も高まります。
経済への理解と関心の向上、ひいては顧客やマーケットを把握できる優秀な人
材育成にも寄与してくるはずです。そういう意味において、DCは従業員の
「自律」意識を高める効果や役割も有しているというわけです。
DC導入論議となると、とかく従業員のデメリットばかり強調されるきらい
がありますが、こうしたポジティブな側面にもスポットを当てた報道が、もっ
と行われることを期待したいものです。