[メルマガ] 株価上昇時こそ難しい継続投資教育

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 株価上昇時こそ難しい継続投資教育
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 日本株式市場が上昇基調にあります。年度始めに8千円を割れていた日経平
均株価が一時1万円を突破しました。今年の年初来最安値から比べるとなんと
25%もの上昇です。
 ある企業型確定拠出年金の担当者によれば、加入者の資産残高合計で見ると
3月末時点では企業拠出額総額に対して数%のマイナスであったものが、この
1カ月で一気にプラスに転じたといいます。実際に株式投資信託に向けられた
資産額は1割程度であることを考えると、いかに株高の影響が大きいかがわか
ります。
 こうしたダイナミックな経済の変化が自分の資産形成に大きな影響を及ぼす
ことを体感することは、加入者にとって投資を実感として理解することによい
効果をもたらすことでしょう。米国でも401(k)プランの普及に1980~90年代の
株高が大きな役割を果たしたことを思い浮かべた人も多いはずです。
 しかし、マーケットが好調な時期こそ、投資教育が難しくなる局面でもあり
ます。投資教育を実施する者にとっても、その理解度合いが試されます。たと
えば、現下の株式上昇にあたって、どのような投資教育が適切でしょうか?
 株価が好調な現状を、リスク資産にも分散投資を行うことの重要性を説明す
ることに活用することは有効であると考えられます。しかし、今から資産の一
部に株式投資を組み入れることを単純に勧めることには問題があります。
 ??ここで「今、株価が上がっているのだから、これを買うべきでは?」と
単純に思ったDCプランナーは注意が必要です。なぜなら、株式市場が高いこ
とを理由に株式投資割合を一気に増やすのでは、しょせん短期的な相場に踊ら
されているに過ぎないからです。仮に今、慌てて株式投資比率を高めたとして
もこれからまた株価が下がれば損をしてしまいます。初心者の資産運用によく
あるような、相場に流されて高値でつかむようなことになりかねません。
 たしかに有価証券投資は重要です。しかし、なんとなく有価証券を資産運用
に組み入れるのでは、DC資産運用としては不適当です。重要なのは「何割程
度、株式投資に資産配分をシフトするか」という資産配分の計画を立てる考え
方と「そのとき全体の資産の期待リターンやリスクはどれくらい変化するか」
というリスク・リターンをコントロールする視点を踏まえて有価証券投資を行
うことです。
 年金資産運用では、長期的に最大限の収益を確保するとともに、リスクを可
能な限り抑えた運用をすることが大切です。異なったニーズをもっとも満たす
ポイントとして、私たちは具体的な分散投資割合を考えるわけです。そのため
に単純な相場観にとどまらない投資理論の理解が求められるのです。
 もちろん、マーケットが好調なときは、投資に対する加入者の関心が高まり
ますので、投資教育がスムーズに行えるよい機会であるといえます。しかし、
マーケットが好調な局面は、リスクのコントロールを加入者が行いにくくなり
「適切な」DC投資手法を理解してもらうには難しいタイミングであることに
注意が必要です。
 投資教育を担当することの多いDCプランナーは、「説明がラクになる」な
どと油断することのないよう注意したいものです。株式投資の変動率から考え
れば短期的に20%動くことは珍しいことではないのです。??たとえば、小泉
首相が就任した当時の日経平均株価は14,000円でした。これは、今よりもずっ
と高い値です。

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