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[メルマガ] 個人型DC、普及状況の読み方

(無署名記事)
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■個人型DC、普及状況の読み方
 11月に国民年金基金連合会から、「個人型確定拠出年金の業務状況」と題
したリリースペーパーが配布されました。これには、2002年度上半期を終
了した時点における確定拠出年金の加入者状況や運用状況などがまとめられて
います。今回は、この内容を紹介しながら、個人型DCの現場での活用状況を
探ってみたいと思います。
(1)40歳代後半から50歳代前半が加入者の中心に
 9月末における個人型DC加入者は5,791名で、第1号加入者と第2号
加入者の割合は、ほぼ半数となっています(第1号加入者:52%)。第2号
加入者については、事業所登録数が加入者数を上回っている状態です。
 
 これを年齢別でみると、年齢が高くなるほど圧倒的に加入者数が多くなる状
態になっています。もっとも加入者数が多いのは第1号、第2号加入者ともに
50~54歳のグループで、これに45~49歳のグループが続きます。45
~54歳のグループを合計すると全体の46%占めています。40歳以上のグ
ループでみれば全体の75%にも達します。
 個人型DCの加入は、加入者の任意になっていますから、中途引出しができ
ないことへの配慮などから若い年齢層の加入が比較的少なく、老後のビジョン
が見えてくることで資金形成ニーズが高まることなどから中高齢の加入者が多
い、という現状が伺えます。特に60歳から給付を受けるため(加入期間10
年を満たすため)、40歳代後半から50歳代前半の加入が多いものと思われ
ます。
(2)8割の加入者は損保と地銀を運営管理機関に指定
 運営管理機関の指定状況を金融機関の業態別に見ると、全体の約50%を地
方銀行、約32%を損害保険会社が占めています。個人型DCを取り扱ってい
る都銀、信金、労金、信組、証券、信託、生保、郵便局等はそれぞれ1ケタの
シェアにとどまっています。
 個人型DCについては、加入者個人が運営管理機関を選定し、指名するわけ
ですが、多くの加入者は自発的に複数の運営管理機関のサービスを比較検討す
るわけではありません。また、比較検討するための横断的な情報提供も行われ
ていないのが現状です。そのため、導入当初から熱心に個人型DCの推進を行
ってきた地方銀行と損害保険会社のシェアが高まっているものと考えられます。
 実際には、地方銀行では2行、損害保険会社も2社の獲得件数が群を抜いて
います。今後の個人型DCの普及に伴い、各業態で加入者数が増えていったと
き、こうしたシェアがどのように変化するかが注目されます。
(3)第2号加入者の過半は拠出限度額まで掛金拠出
 掛金拠出額の水準をみると、第1号、第2号加入者で大きな違いがみられま
す。第1号加入者では拠出限度額68,000円/月のところ、平均で23,
408円となりました。もっとも多い層は10,000~14,000円の層
です(約33%)。その他では、20,000円、30,000円、50,0
00円を含む層に加入者が偏っています。また、拠出限度額上限を含む65,
000~68,000円の層も全体の12%を占めています。
 第2号加入者では拠出限度額が15,000円/月のところ、平均で12,
053円となっています。拠出限度額上限を含む14,000~15,000
円の層が全体の55%を占めています。10,000円以上のグループでみれ
ば全体の85%になります。なお、第1号・第2号加入者全体での平均拠出額
は18,016円となっています。
 個人型DCでは、加入者個人が任意に掛金額を設定します。最低単位は5,
000円で1,000円刻みで設定できるようになっています。現状をみると
第2号加入者では低い拠出限度額を踏まえ、多くの者が限度額をフルに活用し
た拠出を行っていることが伺えます。
 一方、第1号加入者では中途引出しの制限や拠出限度額の選択の余地が広い
ことなどを受け、各加入者が独自の判断で掛金額を決定している状態が伺えま
す。もっとも手頃感のあるのが毎月10,000円程度、ということなのでし
ょう。
 また、第1号加入者の20%以上は毎月40,000円以上の拠出を行って
いる積極的な層であることも見逃せません。彼らは掛金が所得控除される税制
上のメリットがあることや手数料が定額であるため、できるだけ高額の掛金設
定をしたほうが資産形成に効果的であることなどを勘案し、拠出額の設定をし
ているものと思われます。
 これらは、2002年度上半期の現況ですから、これを元に個人型DCの活
用状況が決まったとは言えませんが、活用の状況や制度上の問題点について、
ひとつの方向性が見えるのではないでしょうか?

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