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[メルマガ]  DCへの過去分移換限度額撤廃で制度再構築はどう変わるか

(無署名記事)
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 DCへの過去分移換限度額撤廃で制度再構築はどう変わるか
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 去る1月23日(金)に、確定拠出年金連絡会議(第8回)が開催されました。当
日の資料は2月2日に厚生労働省のホームページにも掲載されており、自由に
閲覧することができます。
(全文) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0123-8.html
 そこで、DC関連の制度改正施策について新たな情報提供がありました。
「DBからの制度移行時の限度額撤廃」です。翌日の日本経済新聞等でも報道
されましたので、目にしている方も多いかと思います。
 これは、すでに明らかになっているDC関連の平成16年度税制改正の内容に
ついて厚生労働省側より説明があった際に触れられたものです。
(税制改正) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/dl/s0123-8c.pdf
 拠出限度額の引上げ、中途脱退時の要件緩和については与党税制改正大綱に
も盛り込まれ実現の方向に動いているのはすでに本記事でも紹介したところで
す。実施については公的年金改正の審議状況等にもよりますが、10月くらいに
なるのではないかとの見通しが示されています。
 今回注目すべきは、「拠出限度額引上げに伴って、制度移行時の移換限度額
も引き上げられる」にとどまらず、「移換限度額の撤廃」に一歩踏み込んだ見
直しが行われるということです。制度移行時においては、移換が行われる過去
の時点からDCがあったものとして拠出限度額に利子相当額を加味したものが
移換限度額とされ、企業によっては制度再編時の障害になると指摘されてきま
した。特に、制度再編後にDBを残すかどうかによって移換限度額に大きな違
いが出ることがDBも活用した再編の選択肢を狭めていたこともまた事実です。
 しかし、今回の制度改正により、過去の企業年金資産については、制度再構
築後DBを併用するかどうかを気にせず全額DC化することも可能になります。
 また、制度再編後にDBや一時金制度を残すとしても、過去分については全
額DCに移換するなどの選択も可能になるかもしれません。実現されれば、柔
軟な制度再編をはかるための選択肢がまたひとつ増えるということになります。
 ただし、将来の運用不足発生のリスクを回避するためだけに、過去分につい
ては100%DC化して対応するような、安易な移行スキームを行わないように、
企業担当者もDCプランナーも配慮する必要があります。少しずつ制度改正が
進められているとはいえ、DCに「退職一時金」としての役割をすべて委ねる
ことは難しく、必ずしも中途退職者のニーズは退職給付だけであるとは限らな
いからです。
 もちろん、退職給付コンサルティングを行うDCプランナーが今回の制度改
正を知らなかった、では許されません。常に知識を最新化させ、今回の制度改
正措置を企業の退職給付制度再編のために役立てていきたいものです。

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