[メルマガ] 代行返上早期化、DC拠出限度額引き上げ……株価対策に翻弄される加入者と事業主の現場は

By in ホームページ・メルマガ on 2003年6月15日

(無署名記事)
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 代行返上早期化、DC拠出限度額引き上げ……
  株価対策に翻弄される加入者と事業主の現場は
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 5月の株価低迷を受けて、政府は「証券市場活性化に関する関係閣僚会議」
などを踏まえ、株価対策の一環としてDC、DB、両企業年金制度に関して2
つの見直しを掲げたことはDCプランナーの皆さんもニュース等でご存じのこ
とでしょう。
 ひとつは、厚生年金基金の代行返上の時期を1カ月早めるとともに、株式等
の物納について条件を緩和することでした。これは、いわゆる代行返上売りに
よる優良銘柄の値下がりとそれに影響された一般投資家の狼狽売りを抑えよう
とするものです。
 もうひとつは、DCの拠出限度額を引き上げることでした。これは、DC運
用資産における株式投資額を増やすことで、定期的な市場での株式購入と長期
保有による株価の安定に寄与する効果を狙ったものです。
 どちらの対策も、ニュース等で情報が流布されることによる市場参加者のい
くらかの安心を誘ったことは事実でしょう。しかし、いずれも実効性として考
えますと疑問がつく対策であったのではないでしょうか。なぜなら、その当事
者である加入者や事業主はこうした対策に短期的に対応しきれない部分も多い
からです。
 まず、加入者の視点から見てみます。加入者としてはDC資産運用について
のみしか関われる余地はありませんが、仮にDC拠出限度額が引き上げられて
も実際に各企業型規約で拠出額が引き上げられるかは別の問題ですし、そうし
た見直しが行われるのには半年以上の時間が必要でしょう。また、拠出額が増
えたことのみを理由に、投資信託等を通じて株式への投資額が増えるとは思え
ません。
 自己責任に基づく加入者個別の投資判断によってのみリスク資産への運用比
率は増えていくわけですから、むしろここで必要なのは適切な投資教育により
リスク資産投資への理解を深めることではないでしょうか。もちろん、安易に
リスク資産を推奨するような継続教育を行うことは運営管理機関も事業主の立
場からも厳に戒めなければいけません。
 また、事業主の立場から考えますと、こうした規制緩和を実行に移すのに必
要な時間と労力は大きなものです。代行返上に関しては、現在各企業において
総幹事会社との連携のもと、全従業員の過去の加入履歴の確認作業が進められ
ています。しかし、データは膨大であり、実務的ノウハウも当然ながら蓄積さ
れていません。多くの企業では仮に代行返上が1カ月早まったとしても、自分
の企業の返上時期には影響しないと考えているようです。
 DC拠出限度額引き上げについても同様で、引き上げそのものに反対する企
業はないでしょうが、制度設計上、一時金受け取りの可能性をほとんど閉ざさ
れてしまう現法においてすべての退職給付制度をDCに集中させる選択肢は採
用されにくいことと思われます。また、引き上げ実現でメリットがあるのは、
これからDC導入を果たす企業」であって、「すでにDC導入を果たした企
業」についてはそう簡単に拠出額を引き上げることはできないでしょう。一部
の報道では拠出限度額は引き上げられても「非課税限度額」としての現状の水
準は据え置かれるとの見方もあり、予断を許さないところです。
 結果として株式市場は他の要因に大きく影響され今年の最安値から10%以上
値を戻しました。とはいえ、DCプランナーとしては、こうしたニュースにつ
いてキャッチアップしていきながら、コンサルティングや従業員教育の現場に
役立てていく必要があります。

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